ネタバレ注意 映画や小説の感想は、ネタバレを気にせずに書いてあります。 ネタバレやオチを知ってしまうのが嫌な方はご遠慮ください。

『神様の裏の顔』 藤崎 翔 本 読書メーター

対する相手の数だけ、人は様々な顔を持つ。全てが本物で、すべてが偽物だ。そう考える本人の意識に対してさえも、本物であり偽物でもある。意識って面倒臭い。ましてや他人の中にある「私」の印象なんて面倒臭いの極致だろう。勝手な思い込みと、都合の良い…

『宿命 (上・下) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 』 楡 周平 本 読書メーター

学生運動に遅れて産まれた。しらけ世代の次のバブル世代にあたる。高校の頃には、学生運動に対して憧憬と軽蔑と少しの恐怖を抱いていた。教育実習生の日報に「革命を忘れるな!」などと書いたりもするおかしな餓鬼だった。マスコミの端くれに就職すると学生…

『ブレードランナー2049』 映画 アンドロイドは、電脳女の夢を見て夢精するか?

www.youtube.com IMAX3Dにて鑑賞。 丸の内爆音映画祭でチケット購入していたが、諸般の事情で観られず、やっと鑑賞できた。 観客が数人しかいなかった地方の映画館で、身体と脳味噌が震える興奮をしながらも、誰にも語れない/語る相手がいない体験をしてから…

爆音映画祭 『ブレードランナー ファイナルカット』 雨音はヴァンゲルスの調べ

初爆音映画祭。丸の内ピカデリー。 『ブレードランナー2049』の予習も兼ねてファイナルカットを選択。 映画の感想は以前書いた下の記事にて。 爆音の「爆」に騙されてた。爆発するような音だと勝手に勘違いしてた。 超とか拡とか、もとから映画が持っている…

『関数ドミノ』 舞台 繋がってんだよ、好きでも嫌いでも 

劇団イキウメの代表作の一つを、外部演出家と役者によって再演。本多劇場。 過去に2つバージョンのあるうち初版オリジナルの戯曲をもとに作者前川知大が改稿している。 そこにある空気と役者の存在感が妙に生々しい舞台だった。本多劇場という箱のサイズも…

レキシ コンサート「不思議の国の武道館と大きな稲穂の妖精たち~稲穂の日~」@武道館

話題のレキシのコンサート。 普段お世話になっている美人MCからお誘いを受けて初参戦。 あらかじめ予習を徹底したのもあるが、かなり楽しい体験だった。 「最後の将軍」や「KATOKU」みたいなメジャーな曲はもちろん、昔の名曲までPV見ているだけで、キャッチ…

短感想 映画 何か話したいんだけど、言葉が見つからない。

今年に入って観た映画たち。感想を書こうと準備してるんだけど、なかなかうまくまとまらず放っておいた一覧。 短い感想は、映画ドンで鑑賞後すぐに投稿したもの。再観、映画館、WOWOW、VODなど鑑賞方法はバラバラ。 いつくかの感想は、時間をみて書き直して…

『凶器は壊れた黒の叫び』 河野 裕 本 読書メーター

凶器は壊れた黒の叫び (新潮文庫nex) 作者: 河野裕 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2016/10/28 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 前作で完結すれば良いと書いたが、結局読んでしまった。後悔させない内容だった。10代の時に読んでいれば…

『機巧のイヴ 』 乾 緑郎 本 読書メーター

機巧のイヴ (新潮文庫) 作者: 乾緑郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2017/08/27 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 日本版スチームパンクとして抜群の面白さ。江戸のパラレルワールド天府を舞台に、機巧人形と人を隔てるものは何なのかを問いか…

『エイリアン コヴェナント』 映画 想像してごらん、創造する事と創造される事を。

前作の『プロメテウス』の記憶が、落下する巨人の宇宙船から逃げる女二人。しかも何故彼女たちは横に逃げない?しかなかったので、再見してからの観賞。 新エイリアンシリーズは、創造主と被創造者の相克がテーマだ。 神と人、人とアンドロイド、巨人とエイ…

『髑髏城の七人 風』 舞台 橋本じゅん最高だぜ

花、鳥と続いた髑髏城も3バージョン目の風。 主役の捨之介は、松山ケンイチ。 無界屋蘭兵衛には向井理、天魔王は松ケンの一人二役、極楽太夫に田中麗奈がそれぞれキャスティングされている。 ついでに雁鉄斎には橋本じゅん。 古田新太が過去に演じた一人二役…

『三惑星の探求』 コードウェイナー・スミス 本 読書メーター

三惑星の探求 (人類補完機構全短篇3) 作者: コードウェイナー・スミス,伊藤典夫,酒井昭伸 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/08/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る 初翻訳の「嵐の惑星」が素晴らしかった!突飛な設定、提示される…

『ダンケルク』 映画  戦争映画、いや戦争に物語を求める人はご遠慮ください

www.youtube.com フランス北部のダンケルクで実際に行われたダイナモ作戦、ドイツ軍に追い詰められた英軍、仏軍の兵士約35万人の撤退作戦を映像化したノーラン監督作品。 IMAXにて鑑賞。 重低音が椅子まで震わす圧倒的な音と、隅々まで空気が張り詰めている…

納涼歌舞伎 『桜の森の満開の下』舞台 新しい古典の生まれる瞬間

野田秀樹、夢の遊民社の代表的な舞台を、ほぼ戯曲をそのままに歌舞伎の舞台にした作品。 驚いた。本当にまんま遊民社の戯曲をそのままに通りなのに、所作や言葉遣い、動きや鳴り物が変わるだけで、こうも違ったものに見えるのか。 野田秀樹が演じた耳男を勘…

坂口安吾 2編 『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』 本 読書メーター / 『贋作・桜の森の満開の下』 野田秀樹・舞台DVD 納涼歌舞伎「桜の森の満開の下」への予習

桜の森の満開の下 作者: 坂口安吾 発売日: 2012/09/13 メディア: Kindle版 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 『桜の森の満開の下』 妖しく咲き誇る満開の桜。本来の桜は狂おしく嫌悪に近い悪魔的な魅力を持つものだ。薄桃色の美しい花弁が幾重にも…

『打ち上げ花火、下から見るか?上から見るか?』 映画 シャフトの無駄使い

www.youtube.com 普段はどんな映画でも良いところを見つけて、褒めるようにしている。 この映画も製作したシャフトの作画や演出は、映画として素晴らしいと思う。 オープニングからのタイトルバックの花火なんて、実写では表現不可能な美しさだ。 この映画は…

私の頭の上を通りすぎて行った男たち 人格を形成してきた読書遍歴

※この記事は、自分語りです。しかも長い。 夏休みに、10代の頃を思い出し、私の人となりに影響を与えた作家たちについてつらつらと考えてみた。 10代の頃の読書は、もろに人格に影響を与えてるなあと、改めて思った八月の暑い朝。 小学校低学年の時、図書館…

『髑髏城の七人 鳥』 舞台 歌えや踊れ

4月に観た『髑髏城の七人』のアナザーバージョン。 主役の捨之介は、阿部サダヲ。 無界屋蘭兵衛には早乙女太一、天魔王に森山未來、極楽太夫に松雪泰子がそれぞれキャスティングされている。 古田新太や小栗旬の着流しイメージから一変した阿部サダヲが良い…

『弥栄の烏 八咫烏シリーズ6』 阿部 智里 読書メーター

弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 作者: 阿部智里 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2017/07/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「弥栄」に含まれた意味が壮絶だ。猿と烏と人の物語は、少数民族の闘いと抑圧、吸収と繁栄の物語だ。蝦夷、沖縄、東北…

音楽を聞くことの難しさ

日曜の深夜放送されている「間ジャム」をご存知だろうか? 関ジャニと古田新太が司会で、音楽に関わるゲストを呼び、そのゲストならではの話しを聴く番組だ。 これがちょうど良いくらいのマニアックさで、見ていてそうなのかと気付かされる事が多く、J系の番…

『少女』 映画 私たち、普通の女の子に戻ります!

冒頭の演劇のような台詞のやり取りからこの映画は観客を煙にまく。 些細な部分まで徹底的なリアルな表現ではなく、演劇的な空気の中で、抽象的で観念的な事が、少女たちによって語られるのだと言う宣言みたいなものだ。 その宣言に違わず、二人の美女モデル…

『団地』 映画 逃げりゃ良いんだよ。

映画館で予告編観た時とはまるで印象の違う映画だった。 床下収納に身を隠した旦那の不在が団地に巻き起こすてんやわんやのコメディ映画だと思っていた。 まさかの展開に驚く。 藤山直美と岸田一徳が演じる老夫婦の、やんわりとしながらもキツイ口調の大阪弁…

『ハクソー・リッジ』 映画 君は生き延びることができるか?

第二次世界大戦の沖縄戦で米軍に実在した銃を持たず参戦した戦士の実話。 銃を持たず激戦の戦場に赴き、何十人という負傷兵、その中には日本兵も含まれた、を救出したと言う事実に驚かされる。 本人は生前頑なに映画化を拒んだと言う。 彼の心情はわからない…

『平等ゲーム』 桂 望実 本 読書メーター

平等ゲーム (幻冬舎文庫) 作者: 桂望実 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2012/04/12 メディア: 文庫 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (1件) を見る 清濁併せ飲む事で人は生き生きと生活ができる。自分の中の暗い欲望や嫉妬心などを見ればその…

『ローガン』 映画 そして、父になる

ローガンの物語が終わった。 10年以上に渡り彼の姿をスクリーンで観てきた私達は静かに彼を送るしかできない。 彼の最後の物語が、守り抜きたかった『父』と守り通した『娘』と共にあった事が嬉しい。 R指定の過激な描写のアクションシーンも多いが、観終わ…

『東京難民 (上)(下)』 福澤徹三 本 読書メーター

東京難民(上) (光文社文庫) 作者: 福澤徹三 出版社/メーカー: 光文社 発売日: 2013/09/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 主人公の転落の姿は、そのまま私の姿だ。上巻の些細なきっかけで『普通』から外れ芋づる式に堕ちていく姿、最悪な…

『郵便屋さんちょっと2017 PS. I love you』 舞台 つかかどうかは関係ねえ こともないか

新宿 紀伊國屋ホール。 つかこうへいの戯曲とエッセイは、80年代10代だった私の身体の一部だった。 つかこうへいと栗本慎一郎と村上龍で、自分の身体と思想はできていた。何かといえばそう口走ってた。 自意識過剰でニューアカ、サブカル気取りの、田舎の嫌…

『戦争で死ねなかったお父さんのために (1979年) (新潮文庫)』 つかこうへい 本 読書メーター

戦争で死ねなかったお父さんのために (1979年) (新潮文庫) 作者: つかこうへい 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1979/04 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 舞台『郵便屋さんちょっと2017』観劇に向けて再読。10代の頃、自分の体(頭・言葉)は、…

『さくらの唄(上)』 安達 哲 本 読書メーター

さくらの唄 文庫版〈全2巻〉完結セット【コミックセット】 作者: 安達 哲 メディア: コミック 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 基本的に漫画はレビューしない事にしているが、この本は読んだ事を記したい。下巻の展開の予兆はあるが、何…