本
傑作『魚舟・獣舟』の世界を大きく広げ、海洋世界のカタストロフィーを見せ切った大傑作。震災後に読み始めて、このタイミングでこんな話を読んでいて良いのか悩むが、それでも小説の魅せる異世界の驚きに読み進める事を止める事ができなかった。
論理的に物事を考察する事のスリリングさを改めて思い出させてくれた。彼の提示する哲学的命題に、同意するしないの問題ではなく、この話から自分の思考を構築していく事。命題をめぐり常に考察する事、それこそがこの本を読むことの重要さだ。 倫理を括弧つ…
面白い。こういう小説って好きだな。
北方ハードボイルなんて久しぶり。今や歴史物の大家だが、今この時代になぜこの小説を書いたのか。傑作『檻』『逃れの街』の時代から現代への変遷がよく分かる。グレーな時代に、どうやって男であるかではなく、明確な憎悪の対象が設定できず滲み出る飼いな…
佐々木譲は、初期の冒険小説が大好きだったが、新しい警察小説のスタイルも十分に面白い。駐在と言う存在に拘ったこの2冊は、特に地味ながらも正義を通そうと苦悩する警官の姿が素敵だ。