『ららら科學の子』 矢作俊彦

この設定はやられた。文学界に連載されているなんて知りもしなかったけれど、矢作さんあんたは凄い。あの時代に対する決着も納得もついておらず、あの頃夢見た未来=今がこうした状況である中何を語れるのか、何を語るのか。あの時が素晴らしく今が駄目なわけじゃない。もちろん今が素晴らしいわけでもない。あの時には何かがあった。彼が三十年の間に無くした何かはこの国にはない。個人で個人に決着をつける。その次にこの国に置いてきたものを取り戻す。その結論に泣ける。
少女も良いよ。現実にいやしないけど、小説にこんな少女がいると良い。がんじがらめの規則を破って南の島へ飛んだ科學の子の胸にあった思いは何なのか?俺の胸にもあるのか?Fuck'in (今も元気で脳天気に現在を謳歌する一部の)団塊の世代。ラブ・アンド・ピース!