『アヒルと鴨のコインロッカー』

伊坂幸太郎の新作。変わらず素敵な作品だ。作者らしい登場人物逹が悪意ある出来事に巻き込まれ、それぞれの方法で乗り越えていく。単純な正義感でも善意でもないやり方で決着をつけていく内容は気持ちがよい。鳥葬を選択した彼の哀しさと決意と人の良さが心に染みる。
交互の章の頭とお尻がそれぞれ微妙に対応していたり、広げた伏線が気持ちよく收まっていくストーリーなど作者らしい仕組みが嬉しい。この世界に触れ再読すると初読では気が付かなかった深い視点から小説をさらに楽しめると言うのもこれまた嬉しい。
聽いた事ないけどボブ・ディランを聽いてみたくなる。
今年は『重力ピエロ』とこの作品の二冊を読めただけでも小説読みとしては幸せ。