「ゴッドファーザー」

十年ぶりくらいに改めてしっかりと観賞した。マーロン・ブランドアル・パチーノの演技はもちろん、40年代アメリカのイタリア移民の生き方・イタリアンマフィアの世界を語るストーリーや、音楽も素晴らしいのだけれど、なによりもこの映画は画が素晴らしい。ノーマルな4:3の比率の画角の中に込められた画の強さ。照明がばつぐんに素晴らしい。具体的なリアルを追求したものではなく、映画という世界の中でのリアル。
冒頭のゴッドファーザーと葬儀屋の会話のシーンの室内照明と、交互に扱われる大きな庭での外での結婚式のシーンとの対比。暗い室内での単光源で表現した陰の存在感。有名な静かなラストシーンの、パチーノとマフィアファミリーが集まっている部屋と妻のいるキッチンの照明の濃淡の差。そしてそこをゆっくりとふさいでいく重い木の扉。光と陰の芸術としての映画の凄みが伝わってくる。
まあそんなこんなを差し置いても二時間以上を飽きさせない濃い物語にKOだけどね。