読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

「早春スケッチブック」

ついに再放送!!!!どれだけ待った事だろう。ドラマだけでなく、映画も小説も含めて俺のオールタイムベスト3にいつでもランク入りの大傑作だ。男。父。親子。生きる。表現する事。家族。年上の女性。全てがここにある。山崎努の存在感と岩下志麻の女優として凄み、そして樋口可南子の美しさ。初見以来ずっとずっと頭の中で残っている。
俺の1/3はこの作品から受け取った物でできている。山崎努に、本当に憧れた。知っている限り一度も再放送がなかった。待ちつづけたよ。さあ、HDDレコーダも準備した。

「一体、お前らの暮らしは、なんだ!
どうせ、どっかに勤めるか?
どうせ、たいした未来はないか?
バカいっちゃいけねえ。そんな風に見切りをつけちゃいけねえ
人間てものはな、もっと素晴らしいもんだ
自分に見切りをつけるな
人間は、給料の高を気にしたり、電車がすいてて喜んだりするだけの存在じゃあねえ
その気になりゃあ、いくらでも深く、激しく、ひろく、やさしく、世界をゆり動かす力だって持てるんだ
偉大という言葉が似合う人生だってあるんだ
あんな親父と似た道を歩くな!
親父に聞いてみろ! 心の底までひっさらうような物凄え感動をしたことがあるかってな!
自分をみがくんだ。世界に向って、俺を重んじよ、といえるような人間になるんだ。
適当に生きるなんてことを考えるな。体裁のいい仕事について、女房貰って、子供つくって、平和ならいいなんて、下らねえ人生を送るな
奴は一遍でも、自分の魂の安っぽさに悩んだことがあるか? 少しでも、魂を豊かにしようと、自分をきたえたことがあるか? 悩んでることは、月給だの身体の調子だの、天気の具合なんてことばっかりだろうが」
「いやあー自分をおさえるってことはいいことだ。
そうやって、少しずつ何かを諦めたり、我慢したりする訓練は、しなきゃいけない。そういうことをしねえと、人間、魂に力がこもらねえ。
しょっ中、自分を甘やかして、好きなようにしてるんじゃ、肝心な時に、精神にあんた、力が入らねえ。
高校生だから酒をのみません、女房がいるから他の女とは寝ません、立小便はしません、満員電車で屁はたれません。そんことは、みんな、くだらないことだ。守る値打ちはねえ。
しかしな、そういう、小っちゃなことで、自分をおさえる訓練をしておくことは、絶対に必要だ。そういう訓練をしなかった奴は、肝心な時にも自分をおさえることが出来ねえ。これだけは、いっちゃあいけねえなんてことも、しゃべっちまう。しゃべらないまでも、顔に出ちまう。そういう、安っぽい人間になっちまう。
毎日、自分をおさえる訓練をしなきゃいけない。自分をおさえる。我慢をする。すると、魂に力が貯えられてくる。映画を見たい。一本我慢する。二本我慢する。三本我慢する。四本目に、これだけは見ようと思う。見る。そりゃあんた、見る力がちがう。見たい映画全部見た奴とは、集中力が違うんだ。そういう力を貯えなきゃあいけない。好きなように、やりたいようにしてちゃあ、そういう力は、なくなっちまう。
しかしだ。それにはあんた限度ってェものがある。見たい映画を三本我慢し四本我慢し六本七本八本我慢しているうちに、別に見たくなくなっちまう。なにが見たいんだか分からなくなっちまう。欲望が消えちまう。
それじゃああんた、力を貯えることになりゃあしねえ。力を、生命力を、むしろつぶしちまうことになる。我慢をしすぎて、力をつぶしちゃあいけねえ。自分の中の、生きる力をな。
生きるってことは、自分の中の、死んでいくものを、くいとめるってこったよ。気を許しちゃあ、すぐ魂も死んで行く。筋肉もほろんで行く。脳髄もおとろえる。なにかを感じる力、人の不幸に涙を流す、なんて能力もおとろえちまう。それを、あの手この手をつかって、くいとめることよ。それが生きるってことよ。」

痺れる。全身の目力で、拝見します。各位、見ろ!必見だ。
ドラマの内容も凄い。山崎努も凄い。彼の役沢田の生き様も凄い。このドラマの良さが分からない奴は、どうでもいい、消えてくれ。
早春スケッチブック〈上巻〉新風舎文庫