「消耗品にすらなれない男逹」

金曜夜の12時過ぎの井の頭線。長引いた仕事で少しだけピリピリとした気分で吊革につかまって読書。
発車間際に飛び込んできたカップルらしき二人の割り込み方に軽くむっとしながらも大人の俺は黙って少しだけ場所を讓った。
初台を過ぎた辺りから、後ろの二人の会話が聞く気がなくても耳に入ってくる。
男が語る「熱い」言葉が幼稚で馬鹿だな〜と思いながらも、まあ良くある話だ。仕事も家庭も建前ばっかが多くて疲れるって言う愚痴。近々子供が生まれるらしく、二人は職場の先輩後輩の関係らしい。男は本当は今日はその女の子をあわよくばってのが、透けて見えていて、その上会話が低能なので、聞いてるこっちが恥ずかしくなった。
それで男がちょっとした雑学自慢をして自分の株をあげようとたくらみ。「どんな男が嫌いか3つあげてごらん」と聞いた。
「大卒じゃない男。一人暮らしをした事がない男」女の子が次々と応えるのに、男はリアクションをしていくのだけれど、彼女の答えがそれぞれ男の痛い所をついているらしく、しどろもどろで馬鹿丸出し。もう、その話に割って入りたくてしょうがなかった。
中途半端な馬鹿なだけに、学歴なんて関係ないと力説するのはまあ許せるとしても、一人暮らしをした事がない男は、周りの友達の間でも、かなり評価が低いと淡々と語る女の子に返す言葉が、もう今時の駄目男の典型だった。
「20も過ぎて親の家から出る事もなく、地元の世界と友達としか関係を持てない狹い世界で生きている男に魅力なんてないんじゃないですか?」(その通り!もっと言ってやれ)
「俺は自分の周りの人達を大切にしているから」
「それでも、そういう人を大切にした上で、どんどん広い世界に出て行って、一人の力で生活するのってかっこいいでしょ?(かっこいいよりも何よりも、それが普通だよ、お嬢ちゃん)
男はその後もぐだぐだと言い訳めいた、先輩としての言葉でお茶を濁すが、完全に彼女の勝ち。妊娠した奥さんから拒否されセックスしたくてしょうがない、とろい男なんて軽いもんだよってな感じで、技ありの強さだ。
先輩のような男が、女の子をくどくなって百万年早い。死んでよい。まあ張りつめていた神経が軽くほぐされて愉しかったので、許してあげるけどね。

学歴が全てじゃないのはあたりまえだけど、図抜けた何かや才能や何やらが無いのであれば、大学入試と言う軽いハードル、テクニックとか要領の良さとか記憶力とか基礎的な力があればクリアできる障害すら乗り越えられなような男は、価値が無いのはあたりまえだ。そんなつまらない男は評価の対象にもならない。馬鹿は死ね。馬鹿は好きじゃない。それで良い。
一人暮らしもしたことないような男は、ただのマザコンだ。どんな理由があっても、親元を一度も出ることなくぬくぬくと暮らしてそのまま結婚するような男は、どうしようもない。一人で生活する経験の無い奴は、セックスする価値なんてない。雄以前のなんともくだらない生き物らしき物だ。
彼女は良く分かってる。と言うか常識か。
ぬるくて愚かな男の典型の男を電車の下り際にちらりと見たら、やっぱり背が低くて髪の毛が薄くなっていた。最悪だ。男としての魅力がゼロだ。デブじゃないだけ、なんとか救われてるくらいだ。
自分以外の男がどんなにとろくても興味はないが、せっかくかわいくて賢い女の子がいるのに、男への希望をくじくのはやめてくれ。
絶対的に男がトロくなり、マザコンの馬鹿か、オタクな愚図で口先だけの男か、ワイルドとは名ばかりの脳無しばかりになっているのは、なんとなく寂しいもんだし、この国はどうなっちゃうんだろうなとちょっと真剣に考えたりした。一瞬だけだけど。