「茶の味」

なんと言って良いものやら。完全にはまったわけでもないし、我修院もすでに定番っぽいし、がつんときたわけでもない。それでも心地よいファミリーコメディ映画だ。
小さなエピソードが積み重なって、ゆったりとしてペースで時間が過ぎて行く。催眠療法士の父、アニメーターの母、もとアニメーターの祖父。どういう家庭だよ。素敵すぎる。
爆笑こそないものの、クスクスとずっと笑っていられるハッピームービーって感じだ。
今の俺には温すぎて、心地よすぎて、どうでも良いハッピーさだったけれど。タイミングと状況によってはもっと好きになっていたかもしれない。ささくれだった気持ちを癒してくれるものじゃないが、時々インサートされる大きな桜の樹や空の景色には和まされた。
「山よ」も、狙いすぎていて嫌だ。どんなテイストを狙いたいかも分かるけれど、もう満腹だろ。
石井監督の作品の中では相変わらず「鮫肌男と桃尻女」が最高だ。カットのスピード、ギャグのかっとび具合、レイアウトの美しさ、心地よく突き刺さる心地よい刺激。なんとかあれを越える映画を創って欲しい。観たいんだ、そんな映画が。