携帯に一通もメールが届かない日。たぶん初めてだ。
平行して読んでいる白石と矢作の本のせいもあって、かなり内省的な気分だ。
自分とは、生きるとは、死とは、仕事とは、男とは、とかくだらなくて魅力的な事ばっかり、頭の中で言葉で思考してばかりいる。昼の時間も嫌世的だ。
怠惰で自堕落な快感だけ肉体だけの交接を、孤独を伴う恋の気分を、喪失の自傷的な反芻を、それぞれ言語化して思考する事も、辛く甘く魅惑的な事よ。
雨上がりの人気の無い道だからこそ、さらに身に染みる。
こういういかにもな状況には唾を吐きたくなるが、ここのある空しくて愛おしくて強い心の際だった感じだけは、強く記憶に刻んでおきたい。
この空気と感触こそが、俺が言葉を紡いで表現したい事だから。