『模倣の殺意』

いわゆる本格だ。新本格が華やかになるはるか以前に登場した、本格の傑作だと言う。
古いよな。古典と言うには近すぎるし世俗に近すぎて、新本格を通り過ぎた後では、軽すぎる。俺は今の講談社系の新本格は好きじゃないけど、それでも島田以降の新本格登場したあたりの作品群は好きだった。今でも法月は俺のお気に入りの一人だ。
そうした新本格の後ではキャラクターの造形も、物語のテーマも陰が薄い。作者が悪いわけじゃないのは分かっているけれど、タイミングが悪かった。出張などの電車での移動の時間つぶしに最適だ。それくらいで、それ以上でも以下でもない。