『カジノを罠にかけろ』

爽快な、カジノ小説だ。カジノで手に汗握るカジノシーンは特に無いけれど、六十すぎた男のユーモアと、軽さにとても好感が持てた。
いかにも今のハリウッドに映画化されそうな、プロットと、分かり易い展開、ついでに意表をつくどんでん返し。俺がプロデューサなら、すぐにでも映画化権だけでも購入するな。手堅く纏めた小説のようだけれど、実はそこを超えた魅力がこの小説にはある。主人公のキャラクターの個性、立ち具合だ。元警官で、現在カジノコンサルタントである老人。それでも内に燃えている男の気概と軽さは、他に無い魅力だ。自分が愛した女を、その手で捕まえる哀しさは、ハードボイルド小説の定番だけれど、普遍的な男の憧れだ。かっこ良いぞ、爺。