『さまよう薔薇のように』 矢作俊彦

矢作の描くヨコハマは、いつまでたっても不良な男(の子)の憧れの街だ。クレイジーケンバンドに通じるヨコハマ、ヨコスカなんだよな。車で一時間ちょっとで行ける横浜じゃない。俺には、永遠に辿り着けない、目指すべき街だ。この街で過ごすための修行を日々行っているようなもんだ。矢作の描く街で一瞬だけでも暮らすために、卑しい街に生きる魅力的な連中と過ごす時間は嬉しいよ。
事件なんてどうでも良い。あの街でリアルに生きる、彼等の誇りと矜持が全てだ。