『ライトグッバイ』

ススキノのバーに屯する探偵シリーズの一冊。ライトハードボイルドなんだろうな。主人公の仕事観、人生観が好きで時々手にしていたシリーズだけれど、これはまあ標準的な内容だと思う。
被疑者が一方的に抱く幻想を利用して友人を装う捜査の中で芽生える奇妙な友情がテーマなのだが、このひねくれた友情もどきが妙に印象的だ。「友情」なんて言う、ありそうでないものを装ううちに、深まっていく被疑者と主人公の関係は、関係性だけで言えばまさに友情の様なものだ。好意を感じて積極的に大切にしようと思うものではないが、ラストに主人公が口にする台詞が表すように、rightなのかlightなのか分からないが心に残るもので、このどっち付かずの心情に共感できれば、この作品は面白いはずだ。俺は面白かった。白黒はっきりつくような面白さじゃないけれど。