『警官倶楽部』 大倉崇祐

俺のお気に入り伊坂の『陽気なギャング』シリーズの版元、祥伝者ノンノベルのクライムコメディ新シリーズとして登場した作品。新人作家ではないようで、過去に数作著作があるようだけれど、残念ながら俺は知らなかった。
警官・警察マニアと悪徳新宗教団体と街金ヤクザとの三つ巴のミステリー。マニアと言っても様々で、コスプレ、PC(パソコンじゃないよ)、機材、無線など、登場人物それぞれのこだわりのポイントがあり、そうしたポイントを巧みにいかしマニア逹が活躍する様子が爽快。本格とは異なるけれど、ミステリーとしては良くまとまっていて、登場人物逹の個性と、事件解決とのプロセスが上手くかみ合い、終盤まで一挙に物語りが進んでいく。
マニアの心理や行動に1ミリも興味がなければ別だけど、そうでなけらば、ぽかりと開いた時間に気の利いた軽くて面白いミステリーとしてお奨め。