『映画の断章 相米慎二』 

相米慎二って、ある時代の映画関係者(ファンも含む)にとって期待の星だったんだ。俺も憧れた。隣の町までポルノも観に行ったし、高校の学祭で撮ったビデオ作品で、相米もどきの長回しもしてみたりした。
「ションベンライダー」「翔んだカップル」「セーラー服と機関銃」「台風クラブ」初期の少年少女を真ん中に置いた映画は、今でも俺の心の糧だ。アイドル出したきゃ興業はある程度保証される中で、後は自分の映画に対する思いをぶつけてくる。こういう監督が邦画界にいたんだよな。観念的になりがちなのは、60~70年代の過ちとして、面白い映画を撮ろうとして徹底的に映画と向き合う姿勢は共感をせずにいられない。
この本は初期を中心にした彼の作品を振り返り、語るスタイルをとったインタビュー集。相米監督の語り口で語られる作品の成り立ちは興味深い。「セーラー服と機関銃」観直したくなるよ。