「日本沈没(2006)」

これはないよな。見られるのは都市が壞れていく様子だけ。ストーリーも適当で、主人公に魅力も無い与えられただけの役割を演じているでくの坊でしかない。俺は柴咲コウファンなので、彼女が出ているだけで嬉しいのだけれど、他に役者の演技を楽しむところが無い。しかも日本が沈まないことに対するカタルシスもない。俺は別に沈まなくても納得はできるけど、この終わり方でクライシスを回避できてもだれも納得できんだろ。日本沈没に期待するのは、どれだけのスペクタクルを持って日本が沈没していくのか、もしくは未曾有の惨事をどうやって回避していくかその過程のスリリングさであって、理にかなっていてもこんな退屈でまっとうな方法で沈没を回避しましたって言われてもな。画は良いよ。スクリーンで観たかった。立ち上がる水柱のカットは美しかった。ここにいたる登場人物の物語に存在感があり、説得力があればまだ納得できたかもしれないが、ただただありきたりで煮え切らず感情移入のできない主人公には誰も引っ張られることはないよ。樋口監督はこれからは人間ドラマの必要のない作品の監督か、特撮監督に専念して貰いたい。特撮の画作りは最高なんだからその才能を全面的に映画に貢献して欲しい。
旧作のザ・男=藤岡弘のような男臭い演技が中心となった映画なら充分に納得できたし、今回は、前作の内容はそのままで特撮部分だけを更新してもらった方が何百倍か良かったと思うよ。草薙はいらない。テレビサイズの演技をスクリーンで見せられると興醒めだ。