『調停者の鉤爪 新しい太陽の書2』 ジーン・ウルフ

4巻シリーズの2巻目。ファンタジーの典型のような世界の影に見え隠れする多重に設定された世界の容貌が、物語を深く広くしてくれる。薄暗い世界の中に展開される多彩なイマジネーションの創造物が、最終的にどのような形を結んでくれるか、期待は高まる。
処刑人としての職を追放され、力を失った太陽が微かに照らす荒涼とした世界を彷徨う主人公が、死者と生者の間合いに巻き込まれるイメージのなんと豊穣なこと!全てのシーンに、未体験な世界を構築し、大きな物語に回収する(まだ、2巻目ではそこまでは至っていないけれど)作者の創造力には脱帽だ。