「トロン」 ★★★★

20年近く前、悪場所だった劇場の暗闇の中で観た、無機質で光学処理に溢れた「トロン」の衝撃は今も忘れらない。マイコンワイヤーフレームのイラスト1枚作るだけのことが大変だった時に、全編CGで合成で作成された映画だぜ。(実際にはCG処理じゃないカットも結構あったけど)そんな時にシド・ミードデザインのCGバイクがグリッド上を走りまわる姿のスピードと動きが俺たち坊主に与えた衝撃は、今の言葉じゃ表現のしようがない。改めてDVDで観直したけど、一度刷り込まれた衝撃は、ああ俺の基礎なんだなと再度実感した。
そんなトロンの続編が満を持して登場だ。しかもデジタル3Dだ。行かないわけには行かないよ。
トロン前作のストーリーを意図的になぞっていくストーリーライン。あのバイクもきっちりと登場させつつ今でしか描けないバイク、ディスクの決闘。いちいちが心に響く。監督はトロンのことが同じように好きなんだなと言うのが伝わってくる。観ている間にやけっぱなしだった。でも、坊主だった時の衝撃は結局0だった。映像の密度やCGの密度も何百倍にもなってるんだけど、突き刺さって脳みそを揺するような衝撃は、なかった。どれもが今想像できる事の延長線上なんだよな。