「アーティスト」 ★★★☆

映画好き、特にサイレント・モノクロ映画が元体験として身に刻まれている映画好き、のためのイベントムービー。
映画館という悪場所で、スクリーンから発せられるマジックに優しく犯される快楽を、改めて楽しませてくれた。だいたいが映画ってメディアは、観覧者にかなりMっ気要素を強いてくるよね。
笑い、涙、恋、陰謀、喜び、プライドと脱落は全て映画が教えてくれた。(ちょっと嘘) この映画にはそんな映画の要素が、全てつまってる。それらを思う存分堪能するのは、遊園地のアトラクションを楽しむのに似てる。
さらに、この映画のラスト、ヒロインに導かれ主人公がともに踊るシーンは、最後に観客全てに大きなカタルシスを与えてくれる。俺ですら、思わず拍手しそうになったもん。海外ではあそこで、観客全員が大きな拍手をしたんだろうな。その観客の拍手とスクリーンがひとつになって、この映画は成立して完結するんだと思う。だから、とっさに拍手を我慢した自分が悔しい。
ハラハラして、ワクワクして、ジーンとして、ドキドキして、最後に主人公たちとともに喜びと興奮を共有する。これが映画体験ってやつで、それが楽しめない人に残念ながらお勧めできない。