『いなくなれ、群青』 河野 裕 本 読書メーター

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

いなくなれ、群青 (新潮文庫nex)

 

主人公僕の、繊細であやふやながら強い意思のこもった想いを、痛いくらいに感じる良作。自分の中の若く青い部分、忘れてしまった部分、隠してる部分などをずっと刺激され続けられ、僕と同じように大切に大切にしている事を思い出し、共感以上の感情に心が揺さぶられる。「いなくなれ、群青」その一言にこもっている、10代の頃持て余していた細やかだけれど自分勝手なあの感情に、胸が張り裂けそうになった。真辺という存在と想いを描くための小説で、けっしてミステリーでもファンタジーでもない。だからこそ他にない素敵な作品になっている。