「事変の夜: 満州国演義二 」(新潮文庫) 読書メーター

 

事変の夜: 満州国演義二 (新潮文庫)

事変の夜: 満州国演義二 (新潮文庫)

 

 

満州事変から満洲建国へと時代の大きな流れの中で翻弄されていく四兄弟。官吏として関東軍の動きに翻弄される者。馬賊として否応もなく巻き込まれる者。軍人として国と理想のために突き進む者。モラトリアムの無責任故に過酷な現実に突き落とされる者。四者の立ち位置が、人知、倫理を超越したうねりを見事に描き出していく。褒められた物でないのは承知の上だが、激流の世界に胸が踊る。人の愚かさ、崇高さ、日本人として日本を思うこと、日本を捨てる侠義、いまここにある現実には見つけられない事柄に浪漫を感じる事は、危険な思いなのだろうか。