「大地の牙 満州国演義六」 読書メーター

 

大地の牙 満州国演義六 (新潮文庫)

大地の牙 満州国演義六 (新潮文庫)

 

シリーズ全体の主役、歴史が大きくうねり、敷島四兄弟がそれぞれ変節していく巻。圧倒的な流れに対して、己の無力感に若い女との性愛に溺れ、無聊を気取るも利権者の都合よく使われるだけに成り下がり、は永田憲兵隊尉官でありながら軍の限界を感じ完遂できなかった復讐に虚無感を覚え足元が揺らぎ始め、ただただ無気力に現状を受け入れるだけ、末っ子の四郎以外は物語の始まりから随分遠くに来てしまった。彼らと共に物語を歩んでいて、段々とつらくなって行く。欧州が対戦に突入し、アメリカが参戦してくるこの先、どんな虚無が待っているのか。