「ルパン三世 カリオストロの城 4DX版」 この完璧な映画を超える作品を、俺は未だ知らない
38年ぶりにスクリーンで鑑賞。
あらすじは、要らないよね。
アバンタイトルのカジノ襲撃から、オープニングを経て、クラリス奪回までの流れの完璧な事!!緩急メリハリの効いた構成、静寂と騒音のカット割の完璧さ!ワクワクしてしんみりして手に汗握るこの展開に約10分、テンポ、台詞、動き、メカへの細かい拘り、キャラの動きと表情の作画、何よりもスクリーンに展開される映画としてのドラマ、これを傑作と言わずして何を傑作と言えば良いのか。
懐かしさと完璧さに、劇場ではこの時点でボロ泣き。宮崎駿はやっぱり天才だよ。大塚康生とのコンビが最高だよ。鈴木ファッキン敏夫なんて邪魔なだけだよ。
宮さんにシナリオから作監まですべてを預けちゃいけないよ。
などと、老害な感想でアタマが一杯になる。
当時、アニメージュ別冊のロマンアルバム買って、コンテの一枚いちまい、採録シナリオの台詞の一つひとつ、設定集の細部の書き込みを何度もなんども読み込み、台詞とSEとBGMが収録された音声だけのLP買って擦り切れるほど聞いたのを思い出す。
あーもう暫くは映画は要らない。
湖から出現したローマの遺跡をお姫様抱っこで歩き、手を繋いで登った丘の上でインターポールの落下傘部隊を美しい風景として眺め、抱きしめたい気持を痩せ我慢の塊として我慢し、オデコにだけちょこんとキスをして、明るく手を振って去っていくルパン。
健気に泥棒を覚えますとつよく語り共に歩みたい思いを精一杯口にして、初めてのキスを素直に捧げようと目を閉じるクラリス。
去って行くルパンを追い、世界で一番ロマンに溢れる台詞を口にして、敬礼と共にウインクをして去っていく銭形。
牛詰めのトラックの荷台からお姫様に手を振りながら去っていく埼玉県警の警官たち。
思い出し言葉にしているだけで、改めて涙が出てくる完璧なメロドラマ、男の浪漫満載のエンディング。
完璧だ。映画館で初めて観た瞬間、映画ってなんて素晴らしく心を動かすものなんだって震えたあの瞬間が蘇る。
この映画を経て、数十年(!!)が経ってしまったいま、引用もリスペクトもパロディも剽窃もさんざんされ手垢がついてしまったが、それでもなおオリジナルのもつ魅力は1ミリも色褪せていない。
12歳で受けた衝撃と感動は、今も変わらずで、映画を観る悦びを改めて思い出させてくれた。
たぶん死ぬまでこの作品を超える映画は出てこないんだろうな。
追記:今回の4DX上映で、唯一要らなかったのは椅子の動きとエアーの噴出だった。てことは4DXの意味がなかったって事になるかね。だって誰目線で動いてるんだからさっぱりわかんないんだもん。スクリーンに出てる何かに合わせて揺れたって、感情移入の邪魔になるだけだよ。
ルパンの行動や心情に合わせて動くんであれば、また印象は変わってくるのに…
おまけ:
この映画観るたびに食べたくなるミートボールスパゲッティ。
俺の映画飯No.1。
って事で作ってみた。
満足、満腹。