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「ユージニア」 本 恩田 陸 読書メーター

ユージニア (角川文庫)

ユージニア (角川文庫)

 

「わたしのユージニア」発さられたこの言葉。込められた意味、読み取った意思、おきた出来事、刻まれたリグレット、取り残された罪‥それぞれが哀しい。物語のための分かりやすい動機や犯人を排し、主観だけが幾重に折り重なり、折り紙のように一つの形を作る。読者の印象すら主観の一つで、遠目には姿わかるが、世界に接している人間には己が感じている事からしか物事が見えない。私の読後感が、他者のそれと重なることはないが、乖離したものでもない。繊細で壊れやすい物のようでいて、美しく強く組み立てられたこの作品は、静かだが恐ろしい。