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『彼が通る不思議なコースを私も』 白石 一文 本 読書メーター

白石一文の作品が好きだ。特に初期の数冊が。生きる事の意味、人と関わる事の意味、幸せとは何か等を真摯に考え続けた照れのない正直な言葉と絶望感や虚無感との混沌が、深く心に突き刺さった。いつの間にか諦観を克服しより前向きになった作品は、変わらず心に響くが、どこか遠くにも感じられた。この作品も同様だったが、タイトルと主人公達二人が示す、生きる意味を問い続けながら運命と対峙していこうとする意志は、さらに深かいものになっていた。自分を一番好きになる事が、生き伸びる事に必要だと語り切れる小説なんてそうあるもんじゃない。