『平等ゲーム』 桂 望実 本 読書メーター

平等ゲーム (幻冬舎文庫)

平等ゲーム (幻冬舎文庫)

 

清濁併せ飲む事で人は生き生きと生活ができる。自分の中の暗い欲望や嫉妬心などを見ればその通りだとも思うが、青臭い部分では主人公の怒りにも共感する。全員の幸せのために守るべきルールを守れない悪い人間を監視するのは理想を維持するための必要悪だと、鷹の島に暮らしていれば、私はきっと主人公の提案に賛同するだろう。しかしその先に待っているのはソビエトのような監視社会であろうことも容易に想像がつく。結局理想のユートピアはどこにも無いという絶望しか感じない私とは違い、それでも理想を探そうとする主人公は若く強いのだと思う。