『宿命 (上・下) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 』 楡 周平 本 読書メーター

学生運動に遅れて産まれた。しらけ世代の次のバブル世代にあたる。高校の頃には、学生運動に対して憧憬と軽蔑と少しの恐怖を抱いていた。教育実習生の日報に「革命を忘れるな!」などと書いたりもするおかしな餓鬼だった。マスコミの端くれに就職すると学生運動の残党が多くいる事に驚くと同時に、のほほんと普通に企業で働く様に怒りを感じたりもした。主人公の女性が革命の火を胸に抱き続け、人の人生を狂わしてでも実現しようとする姿に、かくも革命のロマンは根強く滑稽なのかと改めて感心した。革命の先には何があるのか?永遠に解けない謎だ。

宿命(上) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 (講談社文庫)

宿命(上) ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京 (講談社文庫)