『少女ノイズ 』 三雲 岳斗 本 読書メーター

少女ノイズ (光文社文庫)

少女ノイズ (光文社文庫)

 

 狡い小説だ。頭脳明晰、容姿端麗でツンデレでエキセントリックな行動をするけれど本質は純粋無垢。そんな女子との出会いと恋の物語なんて、男子の妄想でしかない。それなのに読書中、こんな都合の良い美少女あり得ないだろとシニカルになっているつもりが、いつの間にか主人公にシンクロして自分も恋に落ち、彼女から受け入れられている。ジャンル読みだけが読書の在り方ではない。魅力的で愛しい登場人物たちと共に過ごし、彼らの抱いた感情を自分のモノとして受け止める。そんな繊細で自分勝手で厨二的な楽しみかたもあるなと感じた一冊だ。