『八月の犬は二度吠える』 鴻上 尚史 本 読書メーター

八月の犬は二度吠える (講談社文庫)

八月の犬は二度吠える (講談社文庫)

 

暑苦しいほど濃密な仲間なんていなかった。片田舎の街で、東京に憧れて地元を心底恨んでる奴は浮いていた。だから主人公の気持ちがわかると同時におめーは恵まれてるんだよと思いながら読みきった。10代の後半、二十歳になる直前の馬鹿馬鹿しさを共有できる「アイツ」のいない私には二度めの犬焼きにかける情熱は、共感できるものではなかったが、グダグダと自分が何かを作る側だと無根拠に信じながらも、何も形にできない苦しみや自意識はまるで自分自身かのようで共振した。今あの瞬間に戻ったら、次は彼らのような友情をものにできるだろうか?