『孤狼の血』 柚月裕子 本 読書メーター

孤狼の血 (角川文庫)

孤狼の血 (角川文庫)

 
男臭い。痺れた。昭和だ。東映ヤクザ映画だが作者にしか書けない、暑苦しい男の話だ。正義とは何かの話でもあるし、仕掛けられたどんでん返しに驚く上質なミステリーでもあった。なんだか最近、正義とは何かとか、男とは何かみたいな話ばかり読んでいたが、血沸き肉踊る濃厚な体験ができた。男なら、と言うと怒られるので、俺だって日岡のように血を継ぎたい。大上のように無頼に己の信念に正直に生きたいと思う。倫理や常識などつまらん足枷にしばられず、孤独を恐れず、欲望に陥らず、我が道を颯爽と走り抜く。なんて格好良いんだ。男臭さ最高だ。