『大家さんと僕』 矢部 太郎 本 読書メーター

大家さんと僕

大家さんと僕

 

 こんな風に人と繋がれたら素敵だ。恋でも友情でも家族愛どもなく、関係を表す言葉はないけれど、間違いなく大家さんと矢部さんは繋がっている。都会のファンタジーのようだ。読み終わった後に残る、微かに暖かくて柔かな手応えの感触もまた、都会のファンタジーのような幸せな贈り物だ。昭和を生きた素敵な女性、素直で教養と矜持があって凛とした芯と親切で優しい心根を持つキュートな彼女だからこそ私たちに幸せを運んでくれたのだろう。