『暗殺者グレイマン』 マーク・グリーニー 本 読書メーター

暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV)

暗殺者グレイマン (ハヤカワ文庫 NV)

 

 かって男たちの胸を熱くした冒険小説が、今時の装いできら星のごとく登場した。痛みを感じさせる痛烈なアクションが休むことなく展開し、主人公が次々と窮地に立たされるのは、最近のハリウッド産アクション映画化を彷彿させるが、ただの今時スリラーじゃないかと読まずにいるのは勿体無い。「冒険小説」の核、俺たちの胸を直撃する、譲れない男の生き方が、しっかりとここにある。ほんの一時関わった双子の姉妹を救うため、プロとしては馬鹿としか言えない行動をとる主人公、満身創痍の生身の身体を酷使し続ける姿には涙を流さずにはいられない。