2005-11-05から1日間の記事一覧

『すぐそこの彼岸』

白石の文章は、俺には辛い。生々しいほどに突き刺さるシュチエーションに、直接俺の心を傷つけるようなストレートな愚かな姿。彼が書く男の厭らしさが、そのまま俺自身の鏡だ。 首相候補の政治家を父に持ち、その秘書として働く男の、哀しい物語だ。妻とは別…

『カジノを罠にかけろ』

爽快な、カジノ小説だ。カジノで手に汗握るカジノシーンは特に無いけれど、六十すぎた男のユーモアと、軽さにとても好感が持てた。 いかにも今のハリウッドに映画化されそうな、プロットと、分かり易い展開、ついでに意表をつくどんでん返し。俺がプロデュー…

『蜂起』

今の日本の閉塞感と解放のための物語。 なんだろうな。書き割りだ。(ちなみに最近の俺には、この書き割りって言う言い方が、最高のけなし言葉だ)つまらなくは無い。ちゃんと今を切り取ろうとしてるのも分かる。でも薄い。薄すぎる。 週間金曜日に連載され…

『うなぎ鬼』

この濃さはなんだろう。淡々と重なる言葉の先にある、濃い重さ。人が落ちていくその樣と、隔離され存在すらも忌み嫌われる街の様子。底辺にある暗さと悲壮さが、主人公の落ちていく姿を通して描かれる。人を殺す事の醜さまでもリアルな小説だ。 うあぎは、ど…

『聖者は海に還る』

テーマも、構成も面白いのに、それだけだ。作者の覚書じゃないんだから、こんな本を出すな、と言いたい。書き割りだ。『嫌われ松子の一生』と言う傑作をものした作者だけに、どうしてこなるのか。不満だ。不満の固まりだ。

「世界の中心で、愛をさけぶ」

ドラマの綾瀬はるかに恋した俺には、残念ながら物足りなかった。映画としての完成度は高い。長澤まさみと森山未來の演技、柴咲コウと山崎努の存在感が全てだ。つまりこの映画の核になる現在の主要な部分に力が無いって事だ。 この映画は、現在に生きる男の再…

「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」

ばちぐんに面白い。レトロフューチャーな世界が徹底され、監督とプロダクションデザイナーの美意識にみじんの揺らぎもない。それだけで一見の価値がある。 宮崎っぽい空飛ぶロボットや、スーパーマン的な電波や電気の処理。自分逹が好きで格好良いと思う事だ…