新選組!

大河ドラマは嫌いだった。今まで通しで見たものは一本もない。NHKに視聴料払わない理由の半分はそのせいだ。残りの半分は高校野球を中継してるから。で毎年年始めには力入れて大河を見ようとするんだけど、30分と見ていられなかった。竹中直人豊臣秀吉も最初の回で挫折した。なによりも今までの大河は演出がとろいのだ。派手な演出をしろと言うことでなく、視聴者の対象がどうしても中年以降の爺婆なために遅すぎる演出とペースが生理的に合わなかったのだ。
前作の宮本武蔵は、バガボンドとの対比も含め楽しみにしていたのに、今度は歌舞伎界の大仰な演技、眼を剥いて力むのはかなり低能な演技だろ、のせいで見ていて痛くて最期まで見る事ができなかった。舞台上の演技とテレビでの演技は根本的に違う事、しょせんジャニーズはジャニーズでしかないとかね。演技に関しては役者それぞれがぶつかりあっていて上手くかみ合っていなかった。見てて不快でしかない状態だ、それを組み合わせて逆にドラマの質にしていくのは制作者の仕事のなのに、ひとつもそうした仕事がされていなかった。マトリックスっぽいスチールカメラを使った360度映像なんて小手先の芸はやめて演出の芯をしっかりしてくれよてな感じだ。せめて全体の演技のトーンは合わせて欲しかった。
で今回の三谷の新選組!だけれど、最高に面白かった。思わず二度見た。三谷の大河らしい大河を目指すと言う言葉に嘘はない。これぞ大河ドラマだと思う。適度な緊張感と心地よりスピード。けっして早すぎる事なく遅すぎることもない展開。重厚や真面目風を裝う事無く、適度に軽く適度に思い空気。なによりも幕末に生きた若者の熱さと思いを群像劇として書き切ろうとしている三谷幸喜の意志が伝わってくる。そしてその思いを制作者も役者も全てが共有しているのが良く伝わってくる。大河ってのは歴史を舞台にそこに生きた人達のドラマだと俺は思う。新選組!は充分以上にそのドラマを書こうとしている。こういうドラマを大河でやるようになれば、民放のあまたあるクソのようなドラマは霞んでいくよ。間違いない。
武田鉄也が作り上げてしまった一面的な坂本龍馬の姿や、司馬遼太郎が作り上げてしまった幕末や新選組のイメージを、根本から壊して欲しい。このドラマにある熱さはそれを実現する力があると俺は信じる。
日テレで昔やっていた坂本龍馬のドラマと言う汚点は忘れて良い。あのドラマが駄目だったのは、三谷の本のせいじゃない。吉本の思惑と役者の演技が駄目だったのと、何よりも日テレ制作陣・演出陣の力の無さが全ての理由だ。
三谷幸喜。応援してるぜ、この一年熱くさせてくれ。