2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『セカンド サイト』中野順一

中途半端な印象が強い。弱いヒーローなら、もっと強い個性かセンチメンタルが欲しいところ。石田依良好きな作家らしいフォローワー小説だな。脇役も含めて、石田の方がもっと上手く書くだろうなと思わせてしまう時点で、負けだ。

『炎と氷』新堂冬樹

著者お得意の金貸しの話。直情の過剰な暴力と冷酷な知の暴力と言う対照的な性格を持つ、中学時代の同級生が、お互いの存在をかけて対立するコンゲーム。闇金のコンゲームだけに、壮絶なだましあいになるのだけれど、どこか喰い足りなかった。もっとどろどろ…

「チャーリーとチョコレート工場」

「メゾン・ド・ヒミコ」

『陰日向に咲く』 劇団ひとり

けっして美文ってわけじゃない。けれどこの作品の文章は、良いと思う。 劇団ひとりの処女作。抜けていて、おバカで、卑屈で、落ちこぼれと言われるような小市民的なダメな人物逹の物語。俺にとって日常の延長として、自分のことのように感情移入しやすいキャ…

『Op.ローズダスト』 福井晴敏

いや〜満腹。福井節炸裂。 くたびれた中年オヤジの復活と、ナイーブすぎて尖ってしまった陰のある少年の再生の物語。バックにはこの国の閉塞感と軟弱で腐ってしまった現状への否定。今回は振りすぎた安易な右翼の否定まで含まれているってんだから、どこに不…