2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『夜明け告げるルーのうた』 映画 好きな事は好きだと叫べ そうすれば万事OK!

湯浅監督久しぶりのオリジナル長編アニメーション映画。 やっぱり動くことが楽しい。スクリーンに展開する色、響く音、映画館でアニメーション映画をみることの悦びをたっぷりと堪能できる作品だった。 中学生の主人公たちが人魚ルーとの交流を通して成長す…

『クヒオ大佐の妻』 舞台 東京芸術劇場シアターウエスト 愛と幻想の狂気が安アパートで静かに炸裂する

吉田大八作・演出。 1970年代から90年代にかけて、カメハメハ大王やエリザベス女王の親類であると偽り、結婚詐欺を繰り返した「ジョナサン・エリザベス・クヒオ大佐」と名乗る実在の日本人をモチーフにした作品。クヒオ大佐の妻を主人公に据え、狭いアパート…

『ケシゴムは嘘を消せない』 白河 三兎 本 読書メータ

ケシゴムは嘘を消せない (講談社文庫) 作者: 白河三兎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/01/15 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (3件) を見る 数多ある正論のひとつ、見えないものこそ事の本質である、てのは耳障りが良いだけの嘘で、逆に目に見え…

「馬鹿がのさばるこの世界」 世の中

癌患者の受動喫煙可能な場所での勤労についての、大西議員のヤジについてのニュースが囂しい。 大西議員は過去のヤジからも、センスもなく機転の聞かない旧態の政治家だと思うし、下品で好きではない。 が、今回の発言については、彼擁護ではなく、彼の言葉…

『君の膵臓をたべたい』 住野 よる 本 読書メーター

君の膵臓をたべたい (双葉文庫) 作者: 住野よる 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2017/04/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 「仲良し」の二人の関係が始まるあたりは、僕と彼女の言葉のやりとりにニヤニヤしていたが、後半は泣きっぱなし…

『スペードの3 』 朝井 リョウ 本 読書メーター

スペードの3 (講談社文庫) 作者: 朝井リョウ 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/04/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 自意識ってやつは厄介だ。ぐるぐると頭の中で答えの出ない独りよがりな思いが渦巻いて、周りのことも自分のフィ…

『壁の鹿』 黒木 渚 本 読書メーター

壁の鹿 (講談社文庫) 作者: 黒木渚 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/04/14 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 喋る剥製という不可思議な設定とどこか懐かしい空気感の第一章から物語に引き込まれる。生きるのって難しいし面倒くさいけど、そ…

『湯を沸かすほどの熱い愛』 映画 やけどするほどの熱湯がいいです

難病物で、母娘の絆、家族再生、泣きの要素たっぷりで、ある意味ずるい映画だけれど安いお涙頂戴映画になっていないところが魅力の作品。 宮沢りえのラストカットが、とても美しく、この映画はこのカットとそれを含むシーンのイメージが先にあって、そこから…

『フリー・ファイヤー』 映画 人は這いつくばってでも生きて行く

おそらくIRAがらみのアイルランド系ギャング団と南ア出身の武器商人率いる一団が、倉庫の中で銃撃戦する、それだけの映画。 それがやたらと面白い。映画が始まる前に監督からのメッセージで「FBIのたくさんの資料を読んだ結果、人間は銃で撃たれてもちょっと…

『人生タクシー』 映画 おしゃまでお喋りなチャドルのイラン女子小学生に癒される

イランで6年の自宅軟禁、20年の映画製作を禁止されている監督ジャファル・パナヒ氏がゲリラ的に撮影したドキュ・フィクション映画。 日本からでは想像しづらいイランの日常生活の様子を通して、創造することの不自由で歪な環境を告発していく。 声高にではな…

『無限の住人』 映画 やっぱり三池崇史監督はやればできる漢だよ

原作は未読だ。だから役柄の再現の質に興味はないし、改悪なのかどうかはわからない。 この映画は一本の映画として、最高の壮絶娯楽時代劇だった。 痛みを感じるが不死身の主人公。超絶な技能を持ちながらも狂気にとりつかれた優男な武士。親の仇を討とうと…

『ZIPANG』 映画 これぞバブルの徒花だ。痛快娯楽時代劇ここにあり。

『無限の住人』鑑賞前に、原作に影響を与えたって話を聞き、Netflixで鑑賞。 林海象監督の第二作。西洋環境開発製作、堤康二プロデュースという、バルブ時代のセゾンカルチャーど真中の、時代の徒花のような大バジェットの作品だ。 脚本は監督と共同で作家の…

『夜は短し歩けよ乙女』 映画 君と一緒に夜の京都を冒険したい

黒髪の乙女がだれだけキュートか、それがポイント。 彼女の歩く先に待っている世界のワクワク感とアニメーションの動きが楽しい映画だ。 湯浅監督の作品の中では、実は『ケモノヅメ』が一番好きで、あの爆発的で芸術的な動きをどこかで期待していたので、映…