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「野獣降臨 のけものきたりて」野田秀樹

先日の劇団印象つながりで購入した夢の遊眠社DVDボックスの一つ。
もう15年以上前のものだったんだな。バブル真っ盛りで、小劇場ブームだった当時を懷かしく思い出す。
役者の体が舞台の上を所狭しと動き回る。踊り、叫び、笑い、演技する。舞台の演技とは運動の事なんだと改めて思う。
野田秀樹の声は決して聞き取りやすい訳ではない。こもりがちで滑舌も良くはない。それでも一番存在感があるのは彼だ。
どの役者もぴっと一本筋の通った存在感で、日本青年館で直接感じたかったな。
物語も、月と地球とのレイヤー構造から始まり、縦横無尽に串刺しする十五少年漂流記、人と獸の相関関係、台詞の一つ一つの複層の意味、鏤められ重なり合ったシーンが、一つの大きな流れとなって物語の空間を作っていく。構造だけでも美しい。目の前に広がるスピード感あふれる世界の構造が観ている人々に体験として染み込んでくる。少年と夏。のけ者にされた存在への思い。活字になった戯曲とは違った迫力のある体験だった。
面白え。野田秀樹、天才だ。今更言うまでもないか。
教条的に人生に何かを与えてくる訳ではないが、観る物に伝わる物があるのは間違いない。これを観ていないのは、大事な物を手に入れないまま生きているようなもんだ。ぜひ誰かれ構わず観て欲しい。
十二単の君が、獣に、人へ、の君だと言う事に今回気が付いた。何回も戯曲は読んだって言うのに・・・。やっぱり戯曲はあくまでも戯曲。舞台が全てなんだよな。
後四本もDVDが残っている今の状況は、なんて幸せなんだろう。
「小指の思い出」「ゼンダ城の虜」「満開桜の木の下で」「少年狩り」タイトル書いてるだけでも楽しみだ。