「アンダーワールド」

マトリックスの二番煎じと、酷評を所々で見かけたりしたが、ポスターのイカシタ感じがずっと気になっていた作品。
ヴァンパイヤと狼男との血統を賭けた闘いの話。
人間はほとんど関係しない。北欧の伝説を根に持つ、映画界の中では二大人気のモンスターが、現代の都市で闘う姿だけが、この映画の売りだ。
マトリックスよりも、よほど映像を作り上げるセンスや構図のキメなんかは上だと思う。ただこうした画作りができるのは、マトリックスがハリウッドで劇画的な構図や編集を普遍化したおかげである事は間違いない。
スタイリッシュ(ハハ)雰囲気は、この映画独自のものだし、空気に破綻は無い。
それでも吸血鬼の闘いは既に「ブレイド1・2」でかなりクオリティの高いものがあるだけに、二番煎じの感は否めないし、一族のドラマであれば「インタビューウイズヴァンパイア」には遠く及ばない。
しかもドラマのほとんどに観客である人間が関わるパートがほとんどないがために、現実との接点を見つける事が難しく感情移入のしようもない。
気持ちの良いアクションが気持ちよいテンポで次々と繰り出され、クオリティも決して低くないだけに、設定、お話との弱さが残念だ。
主人公の女ヴァンパイアにもう少しエロスがあれば、違った形での感情移入も可能だったろうが、いかんせんストイックすぎる。それはそれでも良いのだけれど、それであれば他の誰かに人間臭い何か、エロスでも破壊衝動でも被害者としての恐怖でも構わない、を託した存在を置くべきだと思う。
見ている間は面白いんだけど、最後の一線が感情移入できない。