『西条秀樹のおかげです』森奈津子

表題作は、人類滅亡ものの最強にして最狂作だ。馬鹿すぎる。高笑いするほどのユーモアじゃないけど、このおかしみは心地良いな。エロと馬鹿の融合。哀愁すら感じるアブノな嗜好。万人にお奨めだ。ヤングマン最高!小学生の修学旅行で行った京都の旅館で全校生徒が踊ったのを思い出して、げんなりした。大人になってから本当の意味は知ってはいたが、こうもあっけらかんと肯定的に扱われると、笑うしかない。あの時クラス代表でジャージ着て前でYMCAと体で文字を作っていた自分の、なんと恥ずかしい事。写真も残ってるぜ、どこかに。でも同時に屈折して、誇らしく感じるのはこの作品のおかげだ。変態は白眼視される事を逆手にとってポップに唄って踊るのさ。
その他の作品も、一つひとつ楽しい。特にバナナ鰐園の話は、勃起するくらいにエロだし。「エロチカ79」は同様に熱く硬くしてくれる。ついでに”後生ですから”って言葉の隠微さを思い出させてくれた。最近聞かないと思っていたが、こういう理由だっったのからか。見目麗しい女性に、ぜひ今言われたいものだ。