「下妻物語」

「今回はあたしらの勝ちって事で」土屋アンナ上等!
もうこの台詞に尽きる。一見クドカン的、木更津的な肌触りを持ちながらも、底に流れる熱さとクールさ、そしてCM制作で鍛えられた画作りに関する職人技が際だつ傑作だ。
オープニング早々の終マークは、まあご愛敬として笑ってスルーすれば良い。その後のタイトルバックも石井?鮫肌桃尻?くらいに思ってれば良い。そこから先は、もうノックアウトだ。もちろんハァな部分もある。土屋の台詞回しは下手だし、小池栄子はなんとかしろだし、小技が結構わざとらしい。だがそれを補って余りあり勢いと強さがこの映画にはある。
深田恭子のロリータ姿の美しさよ。茨城が象徴する日本の田舎の雄大な臭さよ。そして我らが土屋アンナの格好良さよ。
ロリータとヤンキーの友情物と言う底音はきっちりと芯が通り力強く、その上を彩るキッチュでポップな世界は軽妙で楽しい。
画作り、構成、台詞回しは今風だけれど、しかしその底にあるのはバディムービー、任侠映画の男同士の友情物語の熱さだ。
コメディ映画じゃない。大笑いできる所なんて俺からしたら一切無い。でもおかしい。ジャスコ的な事に対する愛ある敵意なんかもファニーだ。実際田舎なんてみんなジャスコだ。田舎者はそれで幸せなんだから、それで良い。そんなジャスコを忌み嫌う、深田恭子の語る台詞の力強さと決意こそが、この映画の本質だ。ハードボイルドなロリータ美少女が伝説と一本気な熱いヤンキー美少女に惹かれ横に立つ熱さが、格好いいんだ。
もう後は観てくれ。上の台詞に涙してくれ。
下妻上等!