『バースト・ゾーン ー 爆裂地区』 吉村萬壱

爆裂な面白さ。暴力と性の爆発は、エンターテインメントとして申し分がない。どこか手あかのついた設定や、登場人物かも知れないが、ここで書かれるざらざらした暴力の力と、性のどうしようもなさは、最高だ。小説読む楽しみを満喫だ。神充や大陸やテロリンを何かのメタファーだと捉えるなんて、くだらない文学かぶれの優等生の読み方をするのはつまらない。書かれた言葉のままに神充の行動の迫力や無慈悲さ、そしてどこかに漂うシンプルな美しさを楽しんで欲しい。最後には自分こそ神充になって、何の価値観も悩みも快楽の状態になった方が楽しいのではないかとまで思えてくる。日本風のどこかの国とどこかの世界で起こっている暴力的なできごとに、無気力に対応して行く、しょうもない人間たち、最後に生き延びるが、あいつだと言うのも頷ける。人を人たらしめている物事なんて、本質的には意味の無いどうでも良い事なのが実感できる。
性に関する叙述も素敵だ。小説でここまで勃起させるエロシーンは、最近そんなにないぞ。大お奨め。