『明日の記憶』 荻原浩

珍しく荻原氏の本なのに、嫌にならずに楽しめた。いつもの浅さが鼻につかず、ストレートに心に響いた。
主人公が広告代理店の営業部長と言う、まったく俺だからってのもあるかもしれないが、記憶を失う恐怖が作者にとっても、読者である俺にとっても、まったく等価のものだったからだろう。
設定や、書きたい物先にありきな感じの手応えとは違う、俺にはリアルな傑作だった。