『ハーモニー』 伊藤計劃

『惨殺器官』に続く傑作。わざわざラノベ風の名前を主人公につけなくても成立する話なのに、あえてあんな名前をつけた作者に拍手。
理想郷そのものをディストピアとして描く、病人でしかだせない視点。
閉塞感、十代なら誰でも抱き、大人になっても特別だと勘違いしている自意識過剰な奴なら誰でも今だに抱いている選別意識の裏返しの違和感をこんなに鮮やかに描き、共感しながらも離反してく日本語の小説はそうはない。必読。