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「Help」 ★★★

公民権が施行される前の南部アメリカに暮らす、黒人女性と白人女性たちの話。
黒人たちを使役することが、当たり前の感覚で生活している世界のなかで、彼らにシンパシーを感じ、やがて状況の改善へと向かうきっかけになる一冊の書籍を著るす主人公と、黒人メイドとの交流は、状況の中でもユーモアを捨てず時に明るくときにシリアスに深まっていく。その交流と、旧来の価値観の象徴女主人との闘いに、程よく笑わされカタルシスを感じ上手く満足へと鑑賞中は誘われる。ウェットになりすぎず、スマートにとても良い感動を得ることができる。
その点では、とても良い映画だと思う。イヤな女のすむ家の庭に、ずらりと便器が並べられるシーンなんか、とても素敵なシーンだし。

でも、いまもまだ人々の中に残る、原初的な異人種への恐怖、そこから生まれる区別と差別、それを乗り越える手だては、残念ながら見つけられなかった。
人種差別、異国、特に主観的に劣ると勝手に思い込んでいる異国への優越感からの差別は、マイノリティへの共感と言葉だけのスローガンや法律だけでは、根絶することはできない。それは誰でも知っている。そうした醜悪な人の在り方、自己の在り方を認め、それらの感覚を抱えながらもなお、優劣ではなく互いの間にある差異を理解しあいながら、共存して行く姿や、可能性・希望の一端をこそ映画では示して欲しかった。
チャーミングでとても素敵な主人公たちだからこそ、与える平等や、敵を笑い貶めることは、いまそこにある差別の逆転でしかなく、乗り越える解決では無いんだと強く感じてしまう。
60年代のアメリカで、力でなく自分たちにできることで、負けず闘ったチャーミングな女性たちの映画として、抜群に面白かったのも事実だけれどね。