『ウエストワールド』 『未来警察』 映画 

f:id:zero0:20180201233902j:plain

 www.youtube.com

1973年のアメリカ映画。『ジェラシック・パーク』の原作などで有名なマイケル・クラントンの初監督、脚本作品。

ノーラン弟やJJプロデュースでTVドラマシリーズとしてリメイクされ、改めて注目されている。されているかな。少なくとも俺は再注目して何十年ぶりに再観。

 

シンプルにエンターテインメント映画として傑作だ。

舞台は、西部の街、中世欧州の街、帝政ローマの街と3つの街で各種ロボットが稼働している巨大テーマパーク。来場者はそれぞれの街でガンマンや騎士として、人間そっくりなロボット相手に好きなように過ごせる。決闘やロマンス、退廃の時間など、欲望の赴くままに殺人やセックスを擬似的に体験できる、まさに大人の遊園地だ。

そんなテーマパークで従順に稼働しているはずのロボットが静かに狂い始め...

という今でこそ手垢のついた物語だが、45年前にすでにAIの反乱を描いていた事に驚く。初鑑賞はTVの映画番組だったと思うが、衝撃的な内容にびっくりして興奮したのを覚えている。

 

この映画は何よりも西部の街の荒くれ者ロボットを演じるユル・ブリンナーにつきる。

f:id:zero0:20180201235531j:plain

この非人間的な立ち振る舞いと表情だけでも背筋が凍えそうになるのに。

f:id:zero0:20180202000035j:plain

顔が外れて機械が露わになる衝撃。

今見ればすかすかだが、当時は怖かった。

 

こんなユル・ブリンナーが、淡々と主人公の命を狙い追い回す。もうそこが怖くて怖くて。CG無しの時代によくぞここまで描ききった。

 

テーマであるロボットの反落は、AIが現実的になっている今だからこそ大きな意味を持つ。

この作品では理由が明示されない。

ある時を境に人間のコントロールが効かなくなり狂っていくだけだ。

反乱の根幹にあるのが、人間の欲望をぶつけ続けた事にあるのは明確だ。

何よりも銃と暴力の西部、享楽のローマ、野蛮と甘いロマンスの中世とテーマパークの設定そのものが、人の暴力と快楽の欲望を開放するテーマを設定されている事、その欲望を際限なくぶつけられてきた西部の悪党と、中世の悪者が最初に人を殺す事にも表れている。

AIが意識を持って自己の存在に疑問を持って反乱するという、現代的なテーマではないが、欲望の際限ない開放は、大いなる破滅をもたらすという警鐘が、ストレートに表現している。

そしてその破滅を、無表情の男ユル・ブリンナーが体現し、静かに身が震える恐怖を感じさせる演出が素晴らしい。

 

この映画の現代へ繋がるテーマを、どのように受け止め発展させていくのかTVドラマ『ウエストワールド』が楽しみだ。ノーラン弟の深い洞察とJJのエンタメの徹底が、何を生むのか?

幸福な続編である事を望む。

 

ちなみに、同じマイケル・クラントン原作、脚本、監督で引き続き公開されたのが下の『未来警察』だ。

ロボットの反乱に対抗する未来の警察官を主人公に、ロボット反乱を政府転覆に利用しようとするテクノテロリストという、まさに現代なテーマの映画だ。

ロボットのデザインがご愛嬌だが、トレース機能のついた弾丸目線でのアクションや、当時の最先端のCGなど、見どころ満載なので、興味があればぜひ。

当時のスター、トム・セレックの髭姿がまた凛々しくてたまらない。

f:id:zero0:20180204193432j:plain

 

 

 

未来警察 [DVD]

未来警察 [DVD]