『1ミリの後悔もない、はずがない』 一木 けい 本 読書メーター

1ミリの後悔もない、はずがない

1ミリの後悔もない、はずがない

 

 少女や女性にはどうやってもなれないので、彼女たちの繊細さや鈍感さ、柔らかく痛い所を芯までは共有はできないけれど、愛しい存在として想像し想いを巡らし共振する事はできる。できると思っている。どんなに精一杯、その時できる限りの事をしたとしても、失ってしまっ事へ1ミリの後悔も残さない事なんてない。だからこそ、勇気をもって踏み出していく由井の姿と最後の手紙に共感するし、桐原の電車の色当てゲームの提案に胸が熱くなる。逆に、加奈子の生き方には哀しみを感じるが、それは私を写す鏡でもある。必死に生きる強さが頼もしく切ない。