筒井康隆

少し古いけど、三島賞舞城王太郎阿修羅ガール』で授賞した時の、筒井大人の評。
言いえて妙。さもありなん。こうもシンプルに言われるとその通り。

近年、某社からやたらに若い女性の書き手が登場するが、本来的に二十歳以前の文学は無理なのである。だいたい井伏鱒二やトオマス・マンが毎年ふたりも三人も出るわけがないのであって、売り出すとすればまさにその年齢でしか書けない感性によるしかないのであろうが、そんな才能だけでいつまでも書けるわけがなく、大学に入ってからの文学修業など知性の末端肥大や混乱を招くだけであって、彼女たちの将来を考えればティーンエイジャーの文学デビューをここいらで打ち切りにした方がよいと考えられる。出版社はホリプロではない。ティーンエイジャーの女性文学者だけで「モーニング娘。」を作ってどうするのか。大人の読者を馬鹿にした所業としか思えず、架空の想定による彼女たちの追っかけめいた若い文学愛好者など当てにしてはならない。選考会の席上でも高樹のぶ子委員を中心にこの問題が噴出し、担当者も返事に困っていたから、今後このての作品が候補になることは滅多になくなると思われる。彼女たちのデビューを邪魔しようとするものではないので、彼女たちに相応しい別ジャンルでの活躍は大いに望まれるが、少なくとも文学を標榜することは慎んでいただきたいものである。

http://shinchosha.co.jp/mishimasho/016/tutui.html