「第9地区」 ★★★★★

最高だ!ヨハネスブルグの上空に故障した巨大宇宙船。エビ顔の感情移入のしづらい高知性を持ちながらゲスな行動をする宇宙人。およそ主人公らしくない小役人が、調子にのって地獄のどん底に落とされ、哀愁で観客の感情移入を誘いながらも、最後まで利己的で小役人根性が抜けず、自己陶酔的な英雄行為が胸を打つけれど、よく考えれば自分勝手で自己憐憫に満ちた嫌らしが透けて見えるそんな状態ながらも、なぜか最後に男泣きと言う、なんとも最高な映画だ。
鼻持ちならない優等生じゃない主人公が、卑屈で傲慢な存在のまま、ここまで俺の心を揺するのはなんだろう。
ついでに武器やらパワードスーツのデザインのディテールが、カッコよいし、飛び散る血やぐちゃぐちゃをこれでもかと画面に登場させる下品さが爽快だし、観ている間の高揚感は最近にない楽しさだった。社会的なテーマやら高尚なテーマを内に持ちながらも、深刻な顔で語らず、映画として観せているのが嬉しいね。