福岡から帰ってくる飛行機。強い雨で機体はかなり揺れた。いつもどおり着席と同時くらいに眠りついたが、水平飛行になったあたりで何故か目が覚めた。
窓の外には一面の雲の海。太陽の光をあびて純白の平原が燿いている。左右の窓を見回すと機体の周辺水平線のかたなたまでフラットな白い平原が続いていた。所々に風に煽られて薄い煙のようにたなびいている場所も見えるが、延々と白い雲海が広がっている。
風も音も止まり、太陽の光と雲と飛行機だけがある。
綺麗だ。
紅の豚の中に、撃墜により死の世界を主人公がかいま見るシーンがあった。まさにあのシーンのようだ。ここなら死を受け入れられるなと思った。