「もしも昨日が選べたら」

アダム・サンドラーは良いね。「パンチドランクラブ」も好きだった。日本では今ひとつメジャーになれていないけど、別に日本の人気なんてどうでも良いからね。アメリカではボックスオフィスNo1の常連で、出演映画は全てヒットの人気者。この映画も彼の人気に乗った企画の一つだろう。
超大作の企画ではないけれど、手堅くまとまったストーリーは観ていて飽きない。人生をスキップできるリモコンを手に入れた建築家が、家族との生活の充実を図るために仕事の成功を目指し、邪魔な時間をスキップしていくことで発生するドタバタと悲喜劇に、観ている間ニコニコさせられる。
巻き戻しの出来ない一方通行の早送り専用のリモコンと言うアイデアが良い。しかも任意でコントロールできるわけではなく、目的が達成されるまで、主人公にも早送りを止めることができない。ストップがかかった瞬間になってはじめて周囲に何が起こったか分かるのだ。
俺には、主人公の家族を思う気持ちは完全に理解できない。これぞアメリカと言う家族愛ってのはどうしても馴染めない。だから主人公のモチベーションの根底が理解できないし、感動もできなかった。けれどこの映画の一番の肝、手出しができない状況で周囲が流れて行った結果、仕事の成功と家庭での喪失、この二つを同時に受け取った瞬間の主人公の悦びと哀しみの両立が面白かった。幸福だけでも不幸だけでも無い。未来を変えられるわけじゃなく、どうしようもなくやってくる。成功も失敗も混じり合ってコインの裏表だ。それが人生。都合の良い単純な未来じゃないことが、一番面白かい点だった。
あまり深い期待を抱かず、軽い気持ちで観て欲しい。良くできた娯楽映画だ。